コンテナ
みんなコンテナは持ったな!!
今までの入力では、繰り返したとしても一つずつしか扱えなかった。
#include <iostream>
double add(double a, double b) {
return a + b;
}
void ask_sum() {
using std::cin;
using std::cout;
cout << "合計を出力するべ。\n"
<< "値をスペースとかで区切って 2 つ入力してくれ。\n";
double first = 0, second = 0;
cin >> first >> second;
// 入力エラー処理テンプレ
while (cin.fail()) {
cin.clear();
cin.ignore();
cout << "なんかおかしいべ。もう一度入力してけろ。\n";
cin >> first >> second;
}
cout << "合計 = " << add(first, second) << "\n";
}
int main() {
while (true) {
ask_sum();
std::cout << "もうやめるかい? [y で終了]";
char command;
std::cin >> command;
if (command == 'y' || command == 'Y') {
break;
}
}
}
これだと、大量のデータを集計して平均を求めたりとかができない。
そこで、そういうのを扱う コンテナクラス を使う。
コンテナ っていうのは、いくらでも値を詰め込めるクラスのこと。
std::string
もコンテナの一種といえるよ。
よく使う std::vector
から見ていこう。
std::vector
同じ型のデータを大量に格納するクラス。サイズを増やせる配列みたいな感じ。
使うには、#include <vector>
が必要。
#include <vector>
int main() {
std::vector<int> data;
}
これは テンプレート といって、使う側から型や値を テンプレート引数 として渡せる仕組み。
テンプレート名 < テンプレート引数, ... >
ここでは格納する型を渡すと、その型が格納できるクラスになる。
つまり、
std::vector<int>
はint
が格納できるクラスstd::vector<double>
はdouble
が格納できるクラス
ってこと。
末尾へ追加
push_back
メンバ関数は、リストの後ろに値を一つ追加する。std::vector
が最も得意な操作。
std::vector<int> data;
data.push_back(4);
data.push_back(3);
data.push_back(1);
data.push_back(0);
data.push_back(5);
初期化
このクラスの初期化は二種類ある。
サイズ指定
予め必要なサイズとその中を埋める値を指定するやり方。
std::vector<int> stat(20); // 20 個の 0 (正確には int{})
std::vector<double> data(15, 5.0); // 15 個の 5.0
すべて同じ値にすることしかできないので、0, 1, 2, 3, ...
みたくするときはループで要素を追加していく必要がある。
std::vector<int> nums;
for (int i = 0; i < 20; ++i) {
nums.push_back(i);
}
※イテレータを学ぶともっと楽できるけれど、それはまた別のお話。
リスト
中に格納するデータをそのまま書く。
std::vector<int> stat = {2, 4, 0, 3};
std::vector<double> data = {1.0};
取得
丹精込めて詰め込んだ値を取り出そう。
サイズ
size
メンバ関数で詰め込んだ値の数を取得できる。
// 何も入れていないと 0
std::vector<int>().size(); // 0
std::vector<int> data(4);
data.size(); // 4
要素
at
メンバ関数で要素の参照を取得できる。
配列と同じで最初の要素は 0
番目。
std::vector<int> data = {4, 3, 1, 0, 5};
data.at(1); // 3
data.at(4) = 2; // 変更もできる
// 存在しない要素。エラーで止まる
data.at(6);
data.at(-1) = 5;
配列と同じように []
でアクセスすることもできる。
こちらは、存在しない要素を指定してもエラーにはならない。
でも、そこに書き込もうとするとシステムがプログラムを止めることがある。
std::vector<int> data = {4, 3, 1, 0, 5};
data[1]; // 3
data[4] = 2; // 変更もできる
// 存在しない要素
data.at[6]; // 値は不定
data.at[-1] = 5; // 強制終了するかも
at
は安全だから、[]
を使うのは実行速度が必要なときだけにしてね。
末尾要素
std::vector<int> data = {2, 4, 5};
↑ の最後の要素にアクセスするときは、
data.at(data.size() - 1);
なんてしなくても、
data.back();
でできる。
末尾から削除
pop_back
で、リストの後ろから値を一つ削除する。
std::vector<int> data = {4, 6, 8};
data.pop_back();
std::map
std::map
を使うには、#include <map>
が必要。
これは、値と、それを表すキー値、二つのセットをたくさん格納するクラス。
キーの値を渡せば値が取得できるってしくみ。
その性質上、キーが重複するような格納はできない。
ちなみに、よく連想配列とか辞書配列とか言われる。
std::map<std::string, int> score;
1 つ目のテンプレート引数が キーの型 で、2 つ目のテンプレート引数が 対応する値の型。
↑ の型は、std::string
をキーとして int
を格納するクラス。
初期化
このクラスにはリスト初期化しかない。
std::map<int, int> integer = { // 初期化リストの中に
{0, 1}, // 初期化リストたち
{1, 2},
{2, 3}
};
std::map<std::string, int> score = {
{"Ange", 510},
{"Lize", 480},
{"Toko", 540}
};
取得
要素の取得には二通りの方法があって、それぞれ性質が異なる。
サイズ
こっちも、格納している要素の数は size
で取得できる。
std::map<int, int> data = {
{0, 1},
{1, 2},
{2, 3}
};
data.size(); // 3
[]
配列のように [ キー ]
で取得できる。
まだそのキーの値がないときは、値の型{}
(0 に相当するもの) が入る。
std::map<int, int> matrix = {{1, 2}};
matrix[1]; // 2
matrix[3]; // 無いので追加。0
matrix[-1] = 4; // 無いので追加。そして代入
std::map<std::string, std::string> word;
word["Hello"]; // 無いので追加。std::string{} が入る
word["Good morning"] = "こんばんは"; // 文字列が std::string になって入る
こんな感じで、要素の挿入もこれでできちゃう。
at
at
も取得するメンバ関数。
std::vector
のように、存在しないときはエラーで止まる。
std::map<char, int> hex = {
{'A', 10},
{'B', 11}
};
hex.at('A'); // 10
hex.at('C'); // エラーで止まる
要素の確認
contains
は指定のキーが格納されているかどうかを bool
で返す。
std::map<char, int> hex = {
{'D', 13}
};
bool has_a = hex.contains('A');
bool has_d = hex.contains('D');
要素があるときだけその要素を取得したいときは、上の at
と組み合わせる。
std::map<char, int> hex = {
{'D', 13}
};
bool has_a = hex.contains('A');
if (has_a) {
int &a = hex.at('A');
}
bool has_d = hex.contains('D');
if (has_d) {
int &d = hex.at('D');
}
削除
erase
で指定したキーの要素を削除する。
std::map<std::string, long> record = {
{"0d5e3", 4000},
{"4ghd7", 8002},
{"5hf71", 12032},
};
record.erase("0d5e3");
他にもいろんなコンテナクラスやそのメンバ関数がある。
けど、その前に次のページで イテレータ について軽く触れておこう。
余談だけれど、std::vector<bool>
の at
メンバ関数は、他の型と違って要素への参照を返さない。代わりに独自の型を返すので注意。一応 bool
型の変数に受け取ったり、代入演算子で変更はできる。